8570イオンフィナンシャルサービス 株価暴落を受けた逆張り戦略 by yamamoto

8570イオンフィナンシャルサービス

イオンフィナンシャルサービスに注目したいと思います。国内外で金融サービスを提供している企業です。国内についてはイオン銀行の預金が4兆円弱あり、それを原資にして、住宅ローンなどの融資を行っています。住宅ローンには居住用が中心ではありますがワンルームなどの投資用の融資も行っています。投資用の半分は信販会社への資金の提供を行っていることや残りの半分の投資用融資も大都市で主要な路線で徒歩10分圏内という厳しい条件で貸し出しを行っています。クレジットカードは全国のイオンで5%割引特典が大きいため、順調に伸びています。クレジットカードの普及によってショッピングやリボ払いの手数料が順調に拡大しています。自粛で落ち込んでいたカードショッピングが6月には前年比でプラス6%となるなど足元の回復は顕著です。カードの稼働会員数は1849万人にも及びますが、1年前は1766万人でしたので順調な稼働会員数の伸びです。稼働会員の定義は1年以内にカードを1回以上使用した会員の数です。

国内事業の収益の柱はもう一つあり住宅ローンなどの融資ローンの流動化です。日本の銀行は向上的に預金が貸出しを上回っているために運用難なのです。だからといって銀行は当局の規制の下にあるため株式などのリスクアセットで運用することが事実上できません。リスクアセットを保有すると残高の100%がリスク資産となり自己資本を積み増さなければならなくなるのです。現状100%の株式投資のリスクウエイトですが2022年から段階的にさらに規制が厳しくなり200%を超えた水準に引き上げが想定されているのです。銀行は今後は持ち合い株も持てなくなるでしょう。そうした中で、MBS(担保による保証付きの証券化された債券)の優先部分は国債よりも少しだけ利回りが高く銀行の買いのニーズが非常に強いのです。プライシングは日本国債に対する0.3%程度のスプレッドです。

1%程度のローンの貸出し金利で1000億円の証券化をする場合、1000億円の1%の利子は10億円になります。証券化によって10億円の利子が0.3%で評価されると証券化による売却額は1割増ぐらいになります。(15年償還の場合)。その1割部分が丸々利益になるのです。1500億円証券化すれば150億円の利益となります。この流動化のニーズは非常に強いものがあります。

海外はアジアが中心です。中華経済圏、メコン経済圏、マレー経済圏でノンバンクとしてトップ・ランクの金融機関です。こちらは個人と法人向けの貸出しが中心です。デフォルト率を考慮しても元々の金利も高く信用リスクも相応にあるため平準的には二桁の収益性が期待できます。

アジアはまだ経済成長が続きますので、今後も残高の伸びが期待できます。

配当の原資となる利益剰余金は2000年当時は200億円程度でしたが現在は2200億円と10倍以上になりました。自己資本はこの20年で500億円台が3800億円まで増加。同期間で有利子負債倍率は3.2倍から2,7倍に低下しています。

23円に減配と景気サイクル

足元はコロナ感染拡大の影響は海外で大きく、マレイシアなどでは政府から支払猶予のお達しが出たことで、アジアにおける貸し倒れの引き上げを保守的に積み増しました。貸し倒れの積み上げが主因で今期の純益の予想は50-100億円のレンジで7月になって業績予想を開示。配当は純益50億円であれば100%還元に当たる23円としました。前期68円から見ると大幅な減配です。それを株価は嫌気しました。今年になってから株価は半値です。ただし、この50億円というレンジは新型コロナの感染の第二波による二度目のロックダウンを想定した厳しい想定です。100億円の純益となれば23円を超える配当が期待できるでしょう。この100億円は来期には200億円程度には回復するでしょう。タイにおける一過性の費用が50億円ありそれがなくなるからです。また経済も徐々に通常に戻っていくためです。2-3年後は300-400億円の純益に戻り、配当も再び70円程度になるでしょう。コロナの影響で中小零細の金融機関が淘汰されるためシェアは徐々に上がっていくでしょう。10年後にはアジアにおけるシェアが上昇することや流動化ビジネスもグローバルで期待できるため配当は100円に乗ってくるでしょう。現状の900円程度で仕込んでおけば20年後には配当が200円で利回りが20%相当になっているでしょう。長期の視点では買い場が到来したと考えたいところです。

リスクは金融ですので、やはり経済危機や金融危機の再来です。金融業はバランスシートが不況期には痛みますので、逆に言えば、好況期には引当金の戻りなどもあり業績は非常によいものになるでしょう。金融に限らず株というものは、不景気に買い、好況期に売るという長期のスタンスで臨みたいと考えております。

これは私見ですが、今の全員がビビっているようなコロナの環境は異常なのではないでしょうか。通常の日々が1日も早く戻ることを切に願っております。

注意:DFRモデルポートフォリオに採用されている銘柄です。投資にあたっては自己責任でお願いします。