理論株価クイズ008 r-gスプレッド8%の適正なPERは?
r-g=8%の企業の適正PERは何倍?
8月25日に著名投資家のすぽさんの道場破り!?を受けることになったのです。すぽさんのブログは投資家にとってとても有用ですので、ぜひ、お読みください。
投資においてDDMを使い、全くPERというものを使わない投資家の私でしたが、NPOイノベーターズフォーラムの松田理事長が「山本さんと同じ意見の人を見つけた」「彼もPERを使わない」だったら座談会をやろうというので座談会を了承したのですが、昨日、すぽさんと話したら、最後は殴り合いになるんじゃないかと物騒なことをおっしゃる。え?すぽさんって PER使わないんですよね?とお聞きすると、PERを最も重視しておりますという答えでした。松田さんに、なんだか全く話が違うと抗議をいたしましたが、まあまあ、殴り合いも面白いからそのままお願いしますということで、8月25日にPER賛成反対座談会の様相となってしまったのです!!
理論株価クイズ008 PER5倍で超割高な株! –リスクを織り込むことができないPER! –
PERを使う使わないは個々人の勝手です。それはそうと、ここにPER5倍の超バリュー株があります。配当成長率の期待値は0%とします。市場平均の資本コストと成長率の差r-gのスプレッドを2%とします。市場平均のPERを14倍とします。そこで、この企業の適正PERは何倍かという問題なのですが….(想定ではこの企業の資本コストと配当性向は市場平均並みとします)
考え方
大学入試改革を見てもわかる通り、二択、サンタクロース、四択、御託を並べるマルチプルチョイスは今時の時流に合いません。そこで理論株価クイズ008は初の論述式問題となりました。
市場平均との格差の計算。市場平均のr-gのスプレッドは2%程度ですが、この企業のスプレッドは配当成長率期待値がそもそも0%ですから、上場企業平均の配当成長率期待値gを0.06とすれば資本コストrは0.08です。
14倍のPERが市場平均であれば益利回りが7%(1/PER平均)ですね。市場の配当性向が30%程度であることがここからわかりますね。つまり利回りと益利回りとの比率が3割なので。
ところがg=0.0であれば、r-gスプレッドは8%に広がります。配当性向30%なら、益利回りはその3.3倍なので、益利回り25%程度が想定されます。つまりPERは4倍が適正PERとなります。
もうお分かりでしょう。r-gが8%の企業はこうなるわけです。実際、PER4倍の企業は結構ゴロゴロしているでしょう?そういうことなんです。
記述問題においては、次々に自前の前提を立てなければならないことにご注意ください。そのためには、勝手に平均値を様々に置くことが必要になります。配当性向ってどの程度が普通なの?平均的な資本コストって? 配当成長率の期待値ってどのぐらいなの?という一般常識が関わるのです。
よって市場平均を当てはめると当該企業のPER5倍は割高ということになりました。
模範解答
r: 当該企業資本コスト
g=0:当該企業配当成長率
po:当該企業配当性向
y:当該企業配当利回り
当該企業益利回り: y/po
当該企業のPER はpo/yである。
y=r-gより当該企業のPERはpo/r (g=0より)となる。
po/r >5 となるならば株価は割高である
質問では市場平均の数字が書かれているが、実際には市場の動向で動く情報であり変数として置く方がよい。
当該企業のrやpoの具体的な前提が書かれていないので一般論として変数を置いた。
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