7749 メディキット 現場主義で世界初を生み出す
7749 メディキット
〇ポイント
・ディスポ(使い捨て)の血管・血液に関する医療機器を生産・販売
・高収益
業績(2019年3月期実績)
売上高 185億円 営業利益 39億円 営業利益率 21%
・3つの事業(人工透析類、静脈留置針類、アンギオ類)を手掛け、3事業ともバランスよく売り上げ
・現場のニーズをとらえた世界初の製品で成長
・長期では海外成長を期待
〇事業内容
血管・血液に関する医療機器を生産・販売
3つの事業をもつ
①人工透析類
②静脈留置針類
③アンギオ類
3事業をバランスよく売り上げている。
留置針は安全針の使用割合が高まっており、同社の静脈留置類の売り上げを牽引している。
〇メディキット3事業の売上推移
〇同社推計の安全針と標準針の割合と推移
*安全針の割合が高まるとともに同社の静脈留置針の売り上げが高まっていることがわかる。
3事業について
①人工透析類(国内のみ)
1976年世界で初めてフッ素系素材(PTFE)による継ぎ目のない一体成形カテーテルによる留置針を開発した。
また、同社の強みは針刺し事故を防止する機能がついた安全針。医療現場で針刺し事故が増えており安全性確保が求められている。
透析類の安全針は薬価がつかないため、次の”静脈留置類”の針に比べて、標準針から安全針への移行はスローである。
現在、安全針は全体の3~4割シェアになってきており、同社の安全針が徐々にシェアを拡大している。
足元でも安全針が伸びている模様。
②静脈留置針類
点滴に使用する針で止血弁機能つき留置針を世界で初めて開発した。
静脈留置針でトップシェア
金属針は看護師の針刺し事故のリスクだけでなく、
患者にとっても長時間にわたって金属針を留置することは血管を傷つけるリスクがある。
改良を続けており、すでにバージョン5を販売しており、製品開発力が評価されている。
特徴は
・針が自動で収納されることで針刺し事故を防止すること
・止血弁付きで血液に触れずにすむこと
・コンパクトな持ち手であること
など。
点滴は看護師が刺すため、安全芯が重視される。
本数は2007年1億2千万本から2018年1億3千800万本に増えた
その間に安全針の割合が高まっており、同社の静脈留置針類の売上も同様に推移している。
安全針と標準型の割合
安全針:標準型
2007年 42:58 → 2018年 73:42
*標準型=針刺し防止機構がついていない型で他社がまだ扱っている
静脈留置針は薬価がつくため、安全針への移行がスムーズに進んだ。
今後も安全針へニーズは高まり、安全針の割合が80%、90%と拡大すると考えられる。
③アンギオ類
導入するためのシースに強みがあり、アンギオ類の6割程度を占める。
アンギオ:血管造影法、カテーテルを用いた血管の検査や治療の総称
シースイントロデューサー:カテーテルを血管内に入れる1m以上のもの
段差の小さな一体型のカテーテルイントロデューサー”スーパーシース”を開発。
段差を小さくすることで、血管へスムーズに指すことができ、患者の痛みが軽減できる。
新製品 Parent Crossを販売開始。
10年前に販売開始した製品Parent Plusの後継にあたる新製品。
Parent Plusは差し込み経路が急角度で曲がると内径が変形(キンク)してしまい、バルーンやステントが通りにくいことがあった。
(例えば、右あるいは左の鼠径部から反対側の大腿動脈へアプローチする手技で俗に「山越え」という場合に発生)
これを素材、材料、金属の編み込みなど製造方法の工夫により内径が変形しない製品を開発した。
〇特許
parent cross のキンクを抑制する技術を実現する特許は
1993年に申請され1995年に公開されている
カテーテルイントロデューサ
https://patents.google.com/patent/JPH07178181A/ja
要約】【目的】血管に導入留置してカテーテルや
ステントを目的部位まで誘導させるシースを厚肉化すること
なく折れ曲がりを生じさせないようにする。【構成】金属細線を螺旋巻きした補強体2を
シース1に先端を除いて埋設し、急角度の湾曲個所でも
折れ曲がることなく留置される機械的強度を与え、それ以上金属細線
を露出させず血管壁などを傷付けないようにした。
〇長期では海外売上高を期待
血管・血液関連で特徴のある製品を開発している。
以下は”Diamondback 360”
2016年11月に米国Cardiovascular Systems,Inc.社が製造する石灰化病変治療デバイス
(Diamondback360)の日本市場における独占販売契約を締結。
今期計画以上に売れている模様。
海外売り上げ比率はまだ10%程度ではあるが、連続増収を達成。
特徴のある製品を開発し、展示会などで積極的に案内することで徐々に認知度が高まっている模様。
海外での先進国においても安全針の利用率が低い国が多い。
針刺し事故は日本に限ったことではなく、今後海外でも利用率が高まることが予想される。
その中で同社の売り上げ成長が期待できよう。
バリュエーション
時価総額 658億円
株価 6,970円
PER(会社計画)21.7倍
財務諸表
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