7062 株式会社フレアス 医療難民を救え! by yamamoto

2019年8月26日

日本に絶対必要な会社

医療保険マッサージのフレアスを2019年7月に訪問しました。

私見ですが、同社は経費意識が強いのでしょうか(よい意味で)、3つあるどの最寄駅からも結構遠い8kmを超えたところに本社が位置しており、歩こうと思えば歩ける距離なので、トコトコと歩いて本社周辺を散策がてら訪問いたしました。そして、社長の澤登拓さんにお話を伺いました。名刺交換で気がついたことは、澤登社長の名刺が点字であったこと。同社には多くの視覚障害者が社員として働いていることもあるのでしょう。

「フレアスという社名は、社内公募なのですよ」と社長は温和におっしゃったのですが、みんなの会社にしたいという思いから公募で社名を決めたそうです。600を超える公募があったそうです。聞けば、経営の神様、稲盛さんの盛和塾で学ばれているとのこと。投資家とすれば盛和塾なら大丈夫だと安心しますよね。社長の苦労話についてはインタビュー記事が色々とございますのでぜひご参照ください。社長の人柄が伝わってくるようなエピソードが満載です。東洋医学の専門家で専門書も執筆されています。経営者でもあり専門家でもあり技術者でもあるのです。

澤登社長は志高く、医療難民ゼロを目指しています。今回の執筆の動機は株価が安いとかそういうことではなく、同社のサービスを読者にぜひ知ってもらいたいからです。医療保険でカバーできるため本人負担はごく小さく、しかも高付加価値のマッサージですから効果はてきめんだからです。

私は利益率重視の投資家ですし、株の出来高もそこそこある企業が投資対象なのですが、同社を取材するうちに、まだちょっと小さいけれども、同社は日本に絶対に必要な会社であるから書かないとまずいなと思ったのでした。事実、取材の途中で、涙腺がやばくなることもあったのです。(多くの取材の中には途中で眠くなってしまう退屈な会社もあるのですが同社は違いました)

別れ際に、レポートの執筆をお約束したのですが、忙しさにかまけてなかなか書けないでいました。

今回、社長の熱い思い、強い気持ちを受けて執筆させていただくことにしました。

-マッサージ: 寝たきり患者へ

マッサージといえば、読者の皆様は、リラクゼイションを思い浮かべるかもしれません。

それは違います。

「マッサージ」は国家独占の商標です。三年間の学習が必要な専門学校を出る必要があります。日本には20万人の資格保有者がいます。

医師の同意書が必要となりますが、自身で病院に行けない方(車椅子、杖、寝たきり、まひ、関節拘縮、歩行困難 要介護3以上の方)が対象となります。高齢化社会を迎えた日本では、全国ではこのような方々が300万人いるとされています。この300万人を救おうと立ち上がったのが澤登社長が率いるフレアスなのです。

フレアスは、国家資格を有したマッサージ師が医療に準じる行為として医療保険適用のマッサージを患者さまに在宅にて提供しています。

医療保険が適用されるため、本人負担は一回の施術に対してわずか400円です。それも、在宅で施術が受けられるのです。しかもマッサージ師の交通費込みで400円なのです。(国家負担はその10倍)

圧倒的に安いですのから、もっともっと宣伝したいのですが、医療行為のため、宣伝することが規制もありできません。

非常に残念なことです。

在宅でマッサージを受けて、体が楽になる。それがたったの400円です。もっとこのサービスの認知度が上がることを願います。

-深刻化する医療難民-

寝たきりになってしまうと、床擦れ等が生じて、生活の質(QOL)が下がってしまいます。関節の可動域を拡大することで、苦しい思いの患者を救うことができるのです。寝たきりでは、足がガチガチになってしまうそうです。膝が固まって足を降ろすこともできない方は、死にたい、死にたいと嘆く。マッサージがこれを救い、何回かの施術により、ようやく足をベットに降ろすことができる。患者さまは涙を流して感謝していただける。

車椅子に1日乗れば足がパンパンに腫れる。わずか20分のマッサージでむくみが取れます。寝返りができず、トイレにも行けなかった方が、可動域が広がることで、寝返り、起き上がり、自力でベッドサイドのトイレに行けるようになります。そうなるとご家族の負担も大いに軽減できるというわけです。患者様の可動域が広がることで介護をする家族への負担も減るため、皆様にもぜひ、宣伝してほしいサービスなのです。読者の皆様にはフレアスのHPをじっくり読んで勉強していただき、ご近所知り合いにフレアスのサービスの宣伝をしていたければ幸いです。寝たきりのひどい症状をたったの400円の本人負担で救うことができるのです。(国家負担はその10倍)

医療難民予備軍300万人の終活のお世話と言ってもよいかもしれません。これは他人事ではなく、私たち、一人一人に必ず訪れる最後です。

-盲学生の希望の光-

身体障害者の雇用は関係者の懸命な努力、政府の後押しによっても改善がなかなか見られません。

本当に残念なことですが、彼らの就職先を確保することは非常に困難なのです。
盲学校の生徒はせっかく多大な努力の末に難しい国家資格を取っても、卒業後の就職先に恵まれません。理不尽なことです。多くは月々10万円程度の安月給でバイトをするしかないのが現実です。無資格の接骨院などで10年働いても年収は上がりません。年収300万円の壁があるといいます。

そのような中で、フレアスは大卒以上の給料を彼らに提供します。しかも主役になれます。

同社の400人のマッサージ師のうち、80人を超える視覚障害者が働いています。訪問マッサージの際には、補助ドライバーを配備するなど働きやすい環境を整備しています。その資格障害者の社員80人の方々が審査員となり、全国の盲学校で将来の夢と題する作文大会を開催しています。優秀者10人に星野リゾートのペア宿泊券が贈呈され、多くの学生にとって、それが初めてのご両親へのプレゼントとなります。育児の過程で大きな負担をかけてきたであろう両親にとっても本人にとっても人生の夢を綴る作文コンテストは重大なイベントであることは容易に想像ができます。このようなイベントを開催していることに素直に私は感動してしまいました。

もちろん、現実は甘くはありません。
資本主義社会においては、自助努力が求められ、誰にとっても一人前に稼ぐのは楽ではないのです。日々、厳しい環境の中で、勉強をたくさんしなければならないのです。健常者にとっても、膨大なノウハウを体系的に学ぶことは、並大抵の努力ではありません。ましてや視覚にハンディのある方にとっては。

澤登社長は、400人マッサージ師全員にタブレッドを配布して、一人一人のプロとしてのレベルを把握しています。研修内容をタブレッドにより600を超える研修を教材にしているのです。そして、研修制度をどこよりも充実させました。初年度100時間以上の研修を実施。全員の試験の点数なども把握できます。技術を持ったものが教える制度も導入しました。

これまで、師弟制度の中で、マッサージは見て覚えろという徒弟の業界であったそうです。今の時代、体系化し、ノウハウを共有して、全員のレベルアップを図っていくことが可能です。澤登社長は業界を変える気概でITを駆使した社員教育を重視しているのです。

不正業者が現れ、交通費の水増しなどが問題になったことで、交通費よりも施術自体に予算が多く割り当てられる傾向にあります。それが教育重視のフレアスの追い風となりました。

高付加価値のマッサージが国家に認定されたことで、難易度の高い施術ができる社員の数が増えているのです。単価が上がりますので、それが近年の業績向上につながっているのです。

-ビジネスモデル-

平均的なモデルは、
施術340円/箇所 x 5箇所 (患者はその10%負担) + 交通費2000円となります。

高度なマッサージでは単価が上昇し780円になります。
この加算が随所にあるのですが、それらは保険で細かく決められています。

通常の免許だけでは340円/箇所の単価ですが、教育により780円に高めることができるのです。

-稼働率80%超-

訪問を必要とする在宅マッサージですから、移動も大変です。待っていればよいだけのリラクゼイションと違います。車も必要となります。医師の同意書がなければ保険適用ができません。営業も手順も大変。

ただし、稼働よく働くことができれば、患者様から感謝されます。高付加価値のサービスをすればするほど給料も加算されるのでしょう。同社の社員の稼働率は80%を超えるといいます。しっかりと働けば、顧客も社員も会社も皆ハッピーというわけです。

就職の機会すらなかった障害者が同社でハードワークしているのですから、頭が下がります。(私たちも彼らに負けないように世の中のために懸命に働くしかないですよね…)

-病院から在宅へと国家が後押し-

国家は、終末医療は病院ではなく在宅にシフトさせていく方針です。昔は大家族でしたから、病院ではなく自宅でお亡くなりになる方が多数でした。今は病院で亡くなる方が大多数になっていますが、在宅にシフトすることで膨大な医療費を節約することができるのです。病院の入院コストは高いからです。

フレアスは、この国家戦略に合致するビジネスを手がけているのです。国策に売りなしの格言通り、今後、マッサージ診療も報酬をじわりじわりと上げていくことになると私は考えます。実際、近年、国家政策としてマッサージ診療は5%ほど上がりました。医療費削減としてジェネリック薬品の普及や薬価引き下げに躍起になる国家ではありますが、在宅医療へのシフトを目指すために、マッサージ報酬は上がる方向性なのです。

-価格競争懸念のない業界-

投資家にとっては、よいビジネスです。
何故ならば、競合があっても、価格は国家が決めるのですから、価格競争になりません。リラクゼイションサービスや床屋のサービスでは安売りモデルが存在しますが、マッサージにはそれがありません。

-さらなる市場開拓へ-

今期は社員を大幅に拡充。営業も100人体制とします。
固定費が先行負担となり今期の利益の伸びは鈍化します。
ですが、将来への布石であり、来期の飛躍が期待できそうです。

これまで同社は全国100程度の拠点を整備してきました。これで全国をカバーできるようになります。そうなると、これまでのようにケアマネジャーからの紹介中心の営業に加えて、全国展開している介護施設や老人ホームへのアプローチが可能になります。そのことで、成長が加速できるのです。

澤登社長に今後の増収のペースをお聞きすると、上場した意味は、医療難民を救うことであり、一人でも多くの方々にこのサービスを届けること。4-5年で売上を倍にできないようでは上場した意味がないと力強い増収ペースをお約束していただきました。

同社のシェアは700億円市場の中でわずかにとどまっています。
売上2倍、3倍が期待できること、このサービスの認知度が高まれば、それ以上の規模拡大が期待できるでしょう。そして澤登社長が医学を学んだ中国大陸においても高齢化の波は押し寄せます。将来は海外への展開も視野に入れているそうです。

-ライバル-

KEiROWはFC方式で全国展開をしています。
HITOWAライフパートナーの傘下です。

アルソックのグループ会社のケアプラスも競合です。
規模はフレアスの半分程度です。

フレアスは直営方式の専業ですから教育面では負けないと私は思います。そして教育面で負けなければビジネスでは負けないはずだと私は思います。

-あとがき-

最近、ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの運用の仕事でお客様に株式投資で儲けていただいています。お客様にポートフォリオを提供。ボトムアップリサーチで、毎日の会社訪問取材で忙しいことを理由にボランティア・レポートがなかなか書けなくなってしまいました。せっかく、多くの社長にお会いできているのにレポートにする時間がなく申し訳なく思っております。そこで新幹線の中で隙間時間でちょこちょこと書いたものです…ボランティアで書いておりますので自分のことも書いてしまって申し訳ないですが、少しだけ。

澤登社長にお会いした時、私の名前を見て、「山本 潤という同姓同名の知り合いがおりまして」とおっしゃる。私は、どこにでもある平凡な名前ですからね、とお返しをいたしましたが、実は、フレアスが社名を社員からの公募で決めたように、私の名前も若かりし頃の父が担任を持った若水中学(名古屋千種)の教え子たちの投票で決まったことをふと思い出しました。どうでもいい話ですが、ちょっとした共通点とでもいいましょうか。

私も投資家として、日々、株式会社フレナスのような日本にとっての希望の光を発掘することが使命であると考えております。フレナスの末長い発展を祈願いたします。澤登社長!これからも頑張ってください。私もフレアスをずっと応援し続けます!

執筆者について

山本 潤 (やまもと じゅん) 

コロンビア大学大学院修了。

哲学・工学・理学の3つの修士号取得。外資系投資顧問のファンドマネジャー歴20年。

日本株の成長株投資を得意としている。

外資系投資顧問会社クレイ フィンレイ日本法人共同パートナーで日本株及びアジア株の運用などを経て投資教育の会社を設立。現在も年間200社前後の会社訪問と投資判断を行っている。

1997-2003年年金運用の時代は1,000億円を運用。

その後、2004年から2017年5月までの14年間、日本株ロング・ショート戦略ファンドマネジャー。月刊マネー誌『ダイヤモンドZAi』誌上の銘柄分析を10年以上続けている。

過去20年超の機関投資家としての運用戦績は年ベースで17勝4敗の勝率8割超(同期間の日経平均は、12勝9敗)。

現在は、DFR(ダイヤモンド フィナンシャル リサーチ)投資助言部において日本株ポートフォリオ22銘柄で投資判断の助言サービスを行っている。2019年8月2日まで年初来7ヶ月間でTOPIXを8%上回る成績を提供している。

2019年8月26日銘柄研究所

Posted by 山本 潤