フィットクルー(469A)需要拡大が続くパーソナルジム市場で、複数モデルを展開する運営会社

1. 時流に沿って事業を横展開する、安定志向のフィットネス運営会社

フィットクルーは、健康への意識の高まりの近年のトレンドに沿った複数のスタイルのパーソナルジムを運営している会社である。数ヶ月間の短期集中でコミットし体型改善をうたう女性専用パーソナルジムを主軸とするほか、より対象年齢層を広げた、ピラティスや医療知見を取り入れた月額制パーソナルジム、プロテインを中心とした物販、卒業生を自社ジムのトレーナーとしても活用する育成スクールを展開している。複数のモデルを併走させることで収益軸を広げ、かつ、フロー型とストック型を並行させることで、事業の安定化を図る経営を行っている。

2. UNDEUX SUPERBODY-短期間でダイエットをしたい女性向けジム

事業の主軸となるのが、女性を対象としたUNDEUX SUPERBODYの集中コースおよびアフターコース。集中コースは、短期かつ高単価(23万円/2ヶ月〜44万/4ヶ月)でダイエット成功を目指すフローモデル。

集中コースの単店売上の推移を見ると、開店初期に商圏内の潜在需要を一気に取り込んで短期間で売上を立ち上げた後、利用期間が最大で4ヶ月と短期であることから開店後15ヶ月前後を境に単店売上は横ばいに転じる傾向がある。その後は、新規流入と修了による離脱が概ね均衡する水準を維持しつつ、次第に成長は鈍化し、長期的には緩やかな減少局面に入るリスクを内包するモデルである。

この減速局面をカバーする役割を担うのが、集中コースで獲得した顧客のLTVを引き伸ばすリカーリング収益源であるアフターコース。リバウンド防止を目的とした各種コース(18,900〜32,000円/月)や食事管理プラン(29,800/月)などがメニューとして用意されている。

アフターコースへは、集中コース修了者の一定割合が移行し滞留することから、集中コースの販売が減速しても一定期間は売上が増加を続ける。25/11期は、郊外型のLIFEやDr.plus Fitの展開を優先したため、UNDEUX SUPERBODYの店舗数は横ばいで推移した。そのため、集中コースの伸びが鈍化する傾向が見られたものの、その中でアフターコースの売上が拡大し、UNDEUX SUPERBODYモデル全体を下支えしている。積み上がりの特性を踏まえると、修了者の2〜4割程度がアフターコースへ移行しているものと推測される(下表参照)。

UNDEUX SUPERBODY 集中コース/アフターコース:売上推移と店舗数の関係

UNDEUX SUPERBODYの店舗展開は、銀座や青山、麻布十番など、都心部を中心としている。短期間で体型改善を求める顧客層は、都心立地との親和性が高いとみられる。

3. UNDEUX SUPERBODY LIFE-美容を訴求した女性専用パーソナルジム

UNDEUX SUPERBODY LIFEは、継続利用を前提とした月額制のパーソナルジム(スタンダードプラン:17,600円〜/月 コミットプラン:79,200円/月)。女性専用である点や、広々とした内装、無料で使えるアメニティ、ピラティスを含む複数の運動選択肢、食事指導の選択制といった特徴を集客要素として持ち、UNDEUX SUPERBODYのアフターコースと並んでリカーリング収益源となっている。

UNDEUX SUPERBODY LIFEは、立ち上げ初期において出店数を限定しながらモデル検証を行い、収益性や需要の手応えを確認した上で、24/11期以降に本格的な出店フェーズへ移行したとみられる。以降は今までのところ、店舗数の増加が売上成長に直結しており、同社のサービス群の中でも最もスケーラブルなモデルとなっている(下表参照)。

UNDEUX SUPERBODY LIFE:売上推移と店舗数の関係

UNDEUX SUPERBODY LIFEの出店立地は、都心一等地ではなく、都内では町田や立川、あるいは地方の生活圏に近い郊外エリアが中心となっている。これは、ダイエット目的の短期集中型サービスと異なり、継続利用を前提とする月額モデルにおいては、日常動線への取り込みが顧客定着において重要であるためと考えられる。家賃を抑えることで、単店あたりの収益性を高める狙いもあるとみられる。

4. Dr.plusFit-UNDEUX SUPERBODYでは拾いきれない層をカバー

血液検査を含んだ医療知見を取り入れ、整形外科医監修のパーソナルトレーニングやピラティスを入れて訴求。対象とする年齢および性別は幅広く設定し、フィットクルーのサービスポートフォリオの幅を広げる役割を担うブランドである。

店舗は、現時点では大阪府内のみに4店舗を展開しており、全国展開フェーズへ移行する前段階としてのモデル検証を行なっている段階だと見られる。26/11期には一気に4店舗の拡張を計画しており、いよいよ売上拡張フェーズに移行するようだ(下表参照)。

Dr.plusFit:売上推移と店舗数の関係

5. プロジム:店舗数を抑えた人材供給インフラ

プロジムは、トレーナー育成スクールであると同時に、フィットクルーが運営するジムに従事する人材供給インフラとして、採用コストの抑制やサービス品質の均質化にも貢献しているものと思われる。

2018年に1号店を開設して以降、23/11期以降は全4店舗体制で推移しており、売上規模も横ばいが続いていることから、既に拡大フェーズは終えて、安定した運営フェーズに入っていると考えられる(下表参照)。

プロジム:売上推移と店舗数の関係

6. 資本推移

フィットクルーはIPO前に4社の外部資本が参画している。三菱UFJキャピタル(IPO前に全て譲渡)、人材や組織作りに踏み込む伴走型ファンドのPE&HR、サファイアキャピタル、そして事業会社のベルパーク。

IPOにおいては新規発行が110,000株、売出が224,400株。売出人は代表の鹿島氏が110,000株、続いてサファイアキャピタルが79,600株、PE&HRが22,300株、ベルパークが12,500株。

IPO後の株主構成は、鹿島氏が592,500株(持株比率約61.4%)を保有、次いで、サファイアキャピタルが265,487株(約27.5%)、PE&HRが75,000株(約7.8%)と、上位3株主で発行済株式数の約92%を占める。

以上

 

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