3998 すららネット  ー教育に変革を、子どもたちに生きる力をー by Ono

2019年1月7日

3998 すららネット

レポート概要

低学力者の底上げを目指す

インタラクティブなコンテンツで飽きさせない

講師不要-人材不足問題を解決

成長シナリオ①:ID数成長

成長シナリオ②:科目数追加

成長シナリオ②:地域拡大

〇子供の学力底上げで格差社会の課題解決を!

成人してからの格差問題は国主導で解決していただくとして

私は子どもの学力底上げをすることが

”格差社会の課題解決”のための手段として期待できると考える。

株式会社すららネットのミッション

”教育に変革を、子どもたちに生きる力を”

”貧困や障害に苦しむ子供たち、低学力の生徒、
世界中の教育格差という社会課題を、
最先端技術で解決する。教育格差を根絶することが
「すららネット」の使命であり戦略です”

〇すららを通学式の学習塾学校に提供

 ”すらら”という対話型のデジタル教材を提供
インターネットを通じてゲーム感覚で学ぶことができる。

内容:小学生から高校生までの国語・数学・英語の3教科の学習内容を提供。

形式:動画配信型+ゲーム型+問題集型
それぞれの良さを組み合わせた教材となっている。

通学式の学習塾と学校のカリキュラムの一部として提供し、
導入が進んでいる。

 

学校の授業内活用の動画

 

 

テレビ東京:モーニングサテライトの紹介動画

 

 

〇導入校数、ID数ともに高い伸び

 学校、学習塾の導入が進んでいる。

 

〇導入校数とID数の増加が重要指標

課金方法は
1校舎当たりの月額利用料

ID単位の従量課金制

・1校舎あたりの月額利用料
 塾3万円 中学5万円 高校8万円

・従量制
 IDあたり課金
 学校1,000円 塾1,500円

独立開業する塾に加え、地方の学習塾中堅大手で増えている。

現在、全国で4万程度ある塾に対して、700校へ導入。

学校向けでは全国に2,000ほどの私立学校のうち150校程度に導入

私立は差別化の手段として活用が進んでいる。

 

〇単価も重要指標の一つ

2020年春には理科と社会を追加予定

 前述の通り、現在は英語、数学、国語の3科目を提供しているが、

2020年春には、理科と社会を追加するためにコンテンツ作成を進めている。

すでに導入済みの学校、塾には追加導入を促すが、新規導入校には全科目の提供を前提とする予定。

提供する単価は現在検討中だが、現時点では科目数(3科目→5科目)に応じた単価設定にしたいとのこと。

 

〇低学力の子供の学力底上げに効果を発揮

 導入が進んでいる要因を見ていこう。

 低学力となっている子供の苦手の要因は一人一人違う。
先生から一方的に知識を与える教え方には、本人のやる気、意志の強さが必要になる。

理解が遅く、集中力が維持できず、やる気が続かない為に低学力になっているのであり、
一方的に伝えることでその学力を引き上げるのは困難である。

学力を引き上げる=やる気を引き上げる
ことから始める必要がある。

〇子供は楽しければ自ら進んでやる

 勉強を自分のペースで楽しくできれば自ずと学力は向上する。

”すらら”は楽しく勉強できるコンテンツを作り、飽きさせない工夫をしている。

アニメキャラクターが動き、所々で理解度を確認するクイズ形式としている。

子供が大好きな
”アニメ” & ”クイズ”
で学習コンテンツを作っている。

AIを活用し、間違えた問題や間違いの数で苦手な分野を分析し、繰り返し学習させることで理解を促す。

簡単に見えるかもしれないが、コンテンツを作り上げ、データを蓄積し結果を出すには時間がかかる。

 

〇競合

 まず、動画コンテンツを利用し、自習学習させ、学習進捗管理などの機能も提供するもので
競合と考えられるのは
リクルート:スタディーサプリ
 https://studysapuri.jp/
ベネッセ:クラッシー
 https://classi.jp/
などがあるが
これらは主に受験に向けたコンテンツであり、中レベル以下の底上げにはなっていない。

また、動画コンテンツを使った教育市場が急速に成長しており、
現状では棲み分けされているということもあろう。

 通学式の他の学習塾との比較では
同程度の月謝
・他の学習塾:週2回程度の通学
・すららの塾:通学し放題、受け放題
を提供できる点で競争力がある。

〇低コストで独立開業が可能

 地方の大手中堅塾の導入が業績インパクトは大きいが、

同社のミッションを達成するためには個人でも独立開業できる仕組みとしている点は注目したい。

①フランチャイズではないため、加盟金・ロイヤリティゼロ
https://suralajuku.jp/model/
”開講にかかる費用300万円”
として参考例が挙げられているがさらに削減が可能な項目もありそうだ。

さらに収益モデルを見ると
生徒30人、雇用無し
年商990万円 営業利益668万円
と高収益が可能と説明している。
通常、FCでは本部に支払うロイヤリティが固定費として、大きな負担となる。
ロイヤリティが無い為、低コストで高収益な運営が実現できる

②生徒数に応じた講師の採用が不要
”すらら”が教えるため
生徒に教えるスキルは不要
生徒数や科目数に応じて講師を増やすことなく、
安定した質を確保。

生徒に声掛けしたり、応援したりするような
頑張ろうとする生徒たちに寄り添える優しさだけあればできるビジネスといえよう。

<教育現場の課題解決と今後について>

 コンテンツの良さだけでなく、学校、学習塾にそれぞれ課題があり、
その課題解決につながるものとして導入が進んでいる面がある。
課題とはそれぞれ次のようなものだ。

〇ブラック職場の学校を改善する

 学校における教員の負担は年々増えており、長時間労働が問題となっている。
 翌日の授業の準備、保護者に向けたプリント作成、朝夕の部活動、
さらにモンスターペアレンツへの対応、不登校、いじめ、虐待への対応など、
昔とは比べ物にならないほどの負担増である。
”中学教諭6割が過労死認定ライン=月80時間超相当の残業”
という調査結果もある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/04/__icsFiles/afieldfile/2017/04/28/1385174_001.pdf

理想の教師像を胸に秘め、教師になった方の中には
生徒一人一人に向き合う余裕がない現実に直面し、
”時間があれば、もっと楽しく、わかりやすく教えてあげたいのに”
と精神的にもつらい状況で子供たちに向き合っている方もいるのではないか。

そんな現状打破のため、教育環境の改善に着手している学校も少なくない。
その手段の一つとして
”すらら”を導入している。

カリキュラムの一部を”すらら”の利用で代替することで
・教師には時間の余裕ができ、一人一人の生徒をみることができる。
・生徒個別の理解度に沿って教えることも可能となる。

理想の教育現場を取り戻すことにつながるかもしれない。

〇課題の多い塾ビジネス

 多くの学習塾が目指すのは、学力を高めて、少しでも良い学校に入れること。

”良い大学に行って、大きな会社に行けば将来安心”
という少し古い思考にあるのではないか。(悪いというわけではないが)

”個性を伸ばす”
と言っても個性には基準がない。
個性が10点伸びた
なんてことはないw

試験は点数で表現できる。
学校も点数で順位付けができる。
効果がわかりやすい。

①教育を戦いの手段ととらえて疲弊
 生徒が受験戦争で勝つ(誰に?w)ために勉強させるのが塾だ。
期限を区切って学習効果を上げるのが塾だ。

勉強を戦いのように捉えて、いつまでにこれを覚えろ、と言っている時点で楽しいわけがない。

塾はみんな同じ方向に向かって競争激化、生徒獲得競争がし烈を極める。
例えば、形だけの有名学校の合格者作りをする(優秀な子が複数の塾で合格者としてカウント)。

②講師人材獲得・人材養成が困難
 人材不足によって、先生、講師をそろえるのが困難な状況である。
さらに一定レベルを目指すならば講師の教育も必要である。
塾も他の業種同様、ご多分に漏れず”人手不足”だ。

バイト学生が集まらない。

有名講師の動画コンテンツをカリキュラムとして組み立てて提供している。

バイト学生はサポート役としていれば十分で、ほぼ研修・教育の必要がない。
受験経験者として相談に乗ればいい。
再現可能かどうかはわからない、自分の体験談を話せばいい(言い過ぎか?)

③生徒募集が困難
 少子化が進む中で生徒獲得競争が激化
高学歴を目指す生徒の獲得は難しくなっている。

すららを導入することで
講師を増やすことなく
・低学力生徒の獲得
・個別指導の強化
を実現する

*ちなみに私事だが、私は娘二人を持つ親として、娘たちには自由に好きなことをしてほしいと心から願っている。
良い大学に行って、大きな会社に行って、なんていうことは全く求めていない。
おかげで二人とものんびりしたものだった。

しかし、周りに影響されて、塾に行きたいと言い出した。
塾へ行くことには賛成できなかったが、勉強したいなら応援するしかない。
(塾に行かず自分でやろう、と言ったのだが・・・)

入塾時の面談でお願いしたのは
”点数が上がるよりも、勉強が楽しくなるように教えてほしい”
ということ。
新しいことを学ぶこと、知ることは本来であれば楽しい、
ワクワクすることのはずである。

しかし、
”勉強が楽しめるよう”
にという要求は無理な話であることに気づいた。

 

〇塾が目指すのは底上げだけでなく個別に合わせた学力向上

Z会グループとの業務提携も現在の塾の課題解決のひとつの形だろう
https://www.zkai.co.jp/home/news/press/181219_Z-kai_Surala.html

課題の多い塾業界において
個別の学力に合わせ、基礎学力の向上を目指す
が今後の塾の流れになると考える。

上位を目指すというこれまでの方針を変えずに、個別へも対応する上で

”低コスト”で導入可能であり、”学校や塾の導入で実績を重ねている”すららの優位性は高い。

〇海外市場も視野に入れる

 開発のための資金調達の手段とJICAの途上国支援案件に応募したところ、採用され、
海外向けの開発に着手。
現在は
インドネシア、スリランカ等
で提供している。

現在も海外からの問い合わせがあり、導入、対応を検討しているとのこと。

まだ売り上げは小さいが、拡大可能性としては注目しておきたい。

〇営業はビデオ会議システムを活用

 日本全国に散らばった塾に加え、海外へも営業、導入への打ち合わせが必要となるが、
同社の営業人員は20名程度しかいない。

営業や導入打ち合わせはほとんどインターネット経由のビデオ会議を活用しているという。
研修などもビデオ会議で提供可能。

少人数ながら、タイムリーで低コストの運営を実現している。

〇業績(単位:百万円)

2018年12月期 第3四半期
売上高 682(前同比 +28.5%)
営業利益 150(同 +60.6%)

会社予想
2018年12月期 通期
売上高 908(前期比+24.2%)
営業利益 156(同 +30.0%)

進捗率は高く、上方修正の水準

〇バリュエーション

時価総額 78億円
株価 6,410円
会社予想PER 76.5倍
無配

成長性、利益率共に高く、収益の再投資のほうが投資家にとってメリットは大きい。
多額の設備投資は不要で、M&Aなども計画していないが、
マス広告による知名度アップなどの投資も視野に入れつつ、投資計画を立てるため現時点では無配を継続する方針

安定性があり、収益性の高さを反映して短期的なバリュエーションは高い。

利益の絶対額が低い為、売上や投資金額が想定と少しずれるだけでも表面的な数値での成長率に影響がある可能性もある。そういったときが投資のチャンスかもしれない。

 

*すららネット立ち上げの沿革(湯野川社長)

2019年1月7日銘柄研究所

Posted by ono