145A L is B 現場を持つ企業の課題を解決

2024年6月16日の東京勉強会(個人投資家向け説明会)に登壇していただきました。

ぜひご覧ください。

 

1. 沿革

・設立

株式会社L is B(life is beautiful)は、2010年9月設立。設立当初から、現場の業務改善やデジタル化を支援する企業として活動を開始した。特に、建設業、流通小売業、インフラ業、運輸・交通業などの「現場」を持つ企業に対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのソリューションを提供している。

・社名の由来

L is Bという社名は「Life is Beautiful」に由来している。この名前には、働く人々の人生に彩りと潤いをもたらすサービスを提供したいという会社の想いが込められてる。

ビジネスチャット「direct」やAI-FAQボットなどのサービスを強化し、顧客基盤を拡大している。現在、同社のサービスは4000社以上の企業に導入されており、業務効率化と生産性向上に貢献している。

2. 起業の経緯

・横井太輔社長のLisB創業までの経歴

 - 大手ソフトウェアメーカーで営業、社長室、商品開発を経験
 - 独立してベンチャー企業を立ち上げた。
X(旧Twitter 以下 X)のツイートを解析して感情を特定し、タイムラインをイラスト付き漫画のように表示する機能を持つアプリ「Feel on!」で、世界で50万ダウンロードを記録する成功を収めた。大規模なユーザー獲得に成功し、アプリ開発の実績と知見を得る。「Feel on!」はXのAPI仕様変更によりサービス運営が困難になりサービスを終了した。この経験から、外部プラットフォームに依存することのリスクと、自社で完結するサービスを持つことの重要性を認識する重要な転機となりました。結果として、この経験が現在の成功につながる重要な要因となったと言える。

取引先企業から「社内で使えるメッセンジャーアプリを作れないか」という相談を受けたことが、ビジネスチャットツール「direct」の開発につながった。

3. 事業内容

主なサービスは以下の通り

・ビジネスチャット「direct」 2014年10月リリース

https://direct4b.com/ja/
 

主力製品でありるビジネスチャット「direct」は、現場の業務効率化を目的としたコミュニケーションツール。特に、建設業や流通小売業などの現場で働く人々にとって使いやすい設計となっており、リアルタイムでの情報共有やタスク管理が可能となる。

OEMで自治体や信用金庫に対しても提供しており、
自治体向けOEM製品「LoGoチャット」は1394自治体(2024年1月31日現在)に導入実績があり、全国の7割以上の自治体が利用中。

「direct」と連動するサービスを継続的にリリースしている。

・「direct Smart Working Solution」:2016年10月リリース

長時間労働の是正を目的としたソリューション。現場の業務プロセスをデジタル化し、労働時間の管理や業務の効率化を支援する。これにより、従業員の働き方改革を推進し、企業の生産性向上に寄与する。

・「AI-FAQボット」2018年7月リリース

問い合わせ業務を自動応答するソリューション。独自のAIエンジンを搭載しており、顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応することができる。これにより、企業のカスタマーサポート業務の効率化とコスト削減が実現する。

*他以下のようなアプリやサービスを継続的に提供している。

連携ソリューション 提供開始 機能
daab 2014年12月 direct チャットボット開発環境
direct Smart Working Solution 2016年10月 長時間労働是正支援ソリューション
direct bot RENTAL 2017年1月 現場の報告、連絡、事務作業などを自動化するためのボットをレンタルするサービス
AI-FAQボット 2018年7月 問い合わせ業務を自動応答するソリューション
direct Apps 2022年4月 タスク管理、スケジュール管理、掲示板、日程調整の4つのアプリを提供
タグショット/タグアルバム 2023年6月 現場の状況を共有するための現場向けカメらあプチ
ナレッジ動画 2023年7月 現場のナレッジやノウハウを動画で共有できるサービス

2022年7月にはDXコンサルティングサービスを開始し、コンサルティングや「direct」と連携した個社別のソリューションの設計開発も行っている。

4. 顧客事例

主要顧客
「direct」の主要ユーザーは大手建設業と自治体。建設業が約6割を占め、建設業界の売上高上位20社中16社に採用されている。挿入企業数は4,000社超
一部署での利用を含めると1,400弱の自治体でも利用されている。

 

・大手建設会社

建設業界のリーダーとして数多くのプロジェクトを手掛けている。現場でのコミュニケーションの効率化を図るため、L is Bのビジネスチャットツール「direct」を導入しました。導入後、現場作業員と本社スタッフ間の情報共有がスムーズになり、プロジェクトの進行が迅速化されました。特に、現場からのリアルタイムな報告が可能となり、問題発生時の対応が迅速に行えるようになったことが大きな成果です。

・流通小売業

全国に展開する店舗の業務効率化を目的に「direct」を導入しました。店舗スタッフと本社間のコミュニケーションが円滑になり、商品の在庫管理や配送手配が効率化されました。また、店舗スタッフからのフィードバックを迅速に収集し、本社での戦略立案に活用することで、顧客満足度の向上にも寄与している。

・自治体

地域住民へのサービス向上を目指してL is Bの「direct」を採用しました。市役所内の各部署間での連携が強化され、住民からの問い合わせ対応が迅速化しました。また、災害時の緊急連絡手段としても「direct」が活用され、迅速な情報伝達が可能となりました。これにより、住民の安全確保に大きく貢献している。

5.顧客課題と貢献

顧客課題と導入による貢献を整理する。
・多様な職種・部署間の連携
現場と本社、異なる部署間でのスムーズな情報共有が課題となっていました。
これらの課題に対応するため、ITリテラシーに関わらず直感的に使用できるインターフェース、モバイル対応、セキュリティ機能、情報の一元管理などの特徴を持つ「direct」を開発し、現場のDXを推進している。これにより、リアルタイムでの情報共有、効率的なコミュニケーション、迅速な意思決定が可能となり、現場の生産性向上につながっている。

・多層的な情報共有の必要性
建設業では元請け、一次下請け、二次下請けなど、多層的な構造がある。「direct」は、これらの異なる階層間でのスムーズな情報共有を可能にし、プロジェクト全体の進捗管理や問題解決を効率化している。

・現場と本社間のコミュニケーション
現場作業員と本社スタッフ間の情報共有がスムーズになり、プロジェクトの進行が迅速化されました。特に、現場からのリアルタイムな報告が可能となり、問題発生時の対応が迅速に行えるようになった。

・多様な職種・スキルレベルへの対応
建設現場には様々な職種や技能レベルの作業員が存在する。「direct」は、ITリテラシーが様々な現場作業者でも直感的に使用できるユーザーインターフェースを特徴としており、この多様性に対応している。

・モバイル対応の重要性
建設現場では常に移動が必要であり、デスクトップPCの使用が難しい環境です。「direct」のモバイル対応は、この業界特有のニーズに合致している。

・セキュリティの確保
多数の下請け企業が関わる中で、情報セキュリティの確保は重要な課題です。「direct」は、個人のSNSやメッセージアプリを業務に使用することによるセキュリティリスクを軽減している。

・プロジェクト管理の効率化
複雑な階層構造を持つ建設プロジェクトにおいて、「direct」は全体の進捗管理や問題点の早期発見・解決に貢献している。

・業界標準化の動き
建設業界の売上高上位20社中16社に採用されているという事実は、「direct」が業界標準のコミュニケーションツールとなりつつあることを示している。これにより、異なる企業間でのプロジェクト連携もスムーズになる可能性がある。

6.特徴・強み

・現場に特化したソリューション
最大の強みは、現場作業者に特化したソリューションを提供していること。特に、デスクを持たず、普段PCを使用しない現場作業者向けのサービス開発に注力している。これにより、建設業、流通小売業、運輸・交通業など、従来のITソリューションが行き届きにくかった業界に対して、効果的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現している。

・ユーザーフレンドリーなインターフェース
主力サービスである「direct」は、ITリテラシーが様々な現場作業者でも直感的に使用できるユーザーインターフェースを特徴としている。これは、横井社長のジャストシステム時代の経験や、X(旧Twitter)アプリ「Feel on!」の開発で得たUX/UIのノウハウが活かされている。使いやすさを重視したデザインにより、幅広い年齢層や技術レベルの従業員が抵抗なく利用できる環境を提供している。

・顧客ニーズに基づく継続的な開発
顧客の声を直接聞き、現場の課題を深く理解した上でサービス開発を行っている。この「お客様の方をきちんと見て、コツコツと開発していく」というアプローチにより、実際の現場のニーズに即したソリューションを提供し続けている。また、「direct」を基盤として、働き方改革支援ソリューションやチャットボットなど、関連サービスを継続的に開発・提供している。

サービスの継続的改善「9週間ルール」
同社は独自の「9週間ルール」に則り、サービスの継続的なアップデートを行っている。これにより、現場の課題を解決するための機能やソリューションを継続的に拡充し、競合他社との差別化を図っている。

現場に足を運ぶ。4000社が使う現場DXビジネスチャット「direct(ダイレクト)」の経営哲学|Road to Success Onlab Grads Vol.29 – Open Network Lab (オープンネットワークラボ) 今から10年以上も前となる2012年にOnlabに参加していた、現場向けビジネスチャット「direct」を開発する株式会社 onlab.jp

・業界トップクラスの導入実績
「direct」は、建設業界の売上高上位20社中16社に採用されるなど、業界トップクラスの導入実績を誇っている。また、自治体での利用も拡大しており、一部署での利用を含めると1,400弱の自治体で利用されている。この高い導入実績は、サービスの有効性と信頼性を示す強力な証拠となっている。

・柔軟なカスタマイズと拡張性
「direct」を基盤としつつ、個社別のオリジナルソリューションの設計開発も行っている。2022年7月に開始したDXコンサルティングサービスと合わせて、顧客企業の特定のニーズに応じたカスタマイズや機能拡張が可能。この柔軟性により、より幅広い業種・業態の企業に対して最適なソリューションを提供できる強みがある。これらの特徴と強みにより、L is Bは現場のDXを推進する企業として、独自のポジションを確立している。

7. 成長戦略

主力サービス「direct」の更なる普及と機能拡充を通じて、既存事業の成長を図っている。具体的には以下の戦略に注力する。

・既存顧客での利用拡大
「direct」の利用が一部の現場や部署にとどまっている顧客に対し、全ての現場や部署での利用に向けて横展開を進める。
連携ソリューションの促進:既存顧客に対して、「direct」と連動する関連サービスの利用を促進する。

主な収益源は、提供するサービスの月額利用料(ストック売上高)。また、「direct」の利用者からの業務効率化の要望に応えるコンサルティングの提供やオリジナルソリューションの開発も行っており、これらはプロフェッショナルサービスその他として収益化している。既存顧客での利用拡大による1社あたり単価アップを図る。

・顧客拡大:元請け企業からの水平展開で導入拡大
まず、建設業界の大手企業(元請け)に「direct」を導入する。建設業界の売上高上位20社中16社に採用されているという実績がこれを裏付けている。

プロジェクト内での利用拡大
元請け企業が「direct」を使用し始めると、プロジェクト内の下請け企業も「direct」を利用する。この時は元請け企業が利用料を支払う。これにより、一つのプロジェクト内で「direct」の利用が垂直方向に拡大する。

下請け企業の経験
下請け企業は、プロジェクトを通じて「direct」の利便性や効果を直接体験する。特に、情報共有の円滑化、リアルタイムでの進捗報告、問題解決の迅速化などのメリットを実感する。

下請け企業の自主的導入
プロジェクト終了後、下請け企業は「direct」の有用性を認識し、自社の他のプロジェクトや業務にも活用したいと考えるようになる。これにより、下請け企業が独自に「direct」の契約を結ぶケースが増加する。

水平展開
一度「direct」を導入した下請け企業は、他の元請け企業とのプロジェクトでも「direct」の使用を提案する可能性がある。これにより、業界内で水平方向にも利用が拡大する。
ネットワーク効果:
建設業界内で「direct」の利用が増えるほど、新規プロジェクトでの導入がスムーズになり、さらなる拡大につながる。

業界標準化
結果として、「direct」が建設業界の標準的なコミュニケーションツールとしての地位を確立し、新規顧客の獲得がさらに容易になる。
この拡大方法の特徴は、建設業界特有の階層構造と、プロジェクトベースの業務形態を巧みに活用している点です。元請け企業からの導入をきっかけに、実際の使用体験を通じて下請け企業に価値を認識させ、自発的な導入を促すという戦略は、非常に効果的かつ持続可能なものと言える。
また、この方法は直接的な営業活動に頼らずに顧客基盤を拡大できるため、L is Bにとっては効率的な成長戦略となっている。

・建設業以外への展開
建設業での強みを活かしつつ、流通小売業や運輸・交通業など、現場作業者の多い他業種への展開を強化する。

・DXコンサルティングの強化
「direct」の利用者からの業務効率化の要望に応えるコンサルティングの提供やオリジナルソリューションの開発を行っている。これにより、単なるツール提供にとどまらない、包括的なDX支援を実現する。

8.業績

・通期見通し

2024年12月期の会社計画では、売上高1,664百万円(前期比30.1%増)、営業利益152百万円(前期比300.0%増)を見込んでいる。ストック売上高が全体の92.1%を占め、安定的な収益基盤の構築を目指している。

・四半期業績

2024年12月期第1四半期の業績は、売上高363百万円(前同比+32.8%)、営業利益34百万円(前同比 黒字化)。前四半期(2023年12月期第4四半期)に対して1.4%増。
顧客拡大により売上高総利益率が改善し、65%以上で推移している。

通期見通しに対する進捗率は、売上高21.8%。前期の1Qの通期実績に対する進捗率は21.4%であり、前年同期を上回っており、順調に進捗している。

9.バリュエーション

時価総額 47億円
株価 924円 (2024/7/5終値)
2024年12月期会社予想
 予想PER 41.5倍
 予想EPS 22.28円
無配

 

 

成長株投資

Posted by ono